品番-190番
江戸期の大麻布と瑞雲の蛇腹式小物入れ
price is19,000円
木綿を栽培できなかったいにしえの東北で、
庶民は木綿も絹も着用できない掟のあった、いにしえの日本で、
大麻草を栽培し、草を刈り、繊維を採り、糸を績み、
気の遠くなるような工程を経て手織りした布を藍染し、
衣類や生活の布として大事にされてきた大麻布。
木綿や絹のようななめらかさ、暖かさ、柔らかさのない、
袖を通すとガサガサゴリゴリした、野性味溢れる大麻布。
けれども、何度も水をくぐり、使われ続けた大麻布は、いつしかとろけるような柔らかな風合いが生み出されていく。
同じ自然布で古来からのアサの仲間である”苧麻”にはない柔らかな肌触り。
苧麻はどんなに水をくぐっても使い古されても、ハリのある手触りはどこまでも変わらない。
大麻布はゴリゴリした手触りから、使えば使う程にとろけるような肌触りになっていく。
それゆえに、いにしえよりこれまで人々に愛されてきた布。
かつては貧しさゆえの自然布が、今では希少で貴重な布となり。
今回、蛇腹式小物入れに仕立てたこの大麻布は、江戸末期につくられたもの。
140年以上も昔の布。
濃く染められていたはずの藍の色は、何度も水をくぐるうちに味わいのある縹色に。
絹や木綿ではボロボロになっていただろうに、強靭な繊維で手織りされた大麻布だから今日まで残されてきたのだろうか。
そんな江戸期の大麻布に合わせたのは、明治期に作られたとされる大麻布は殆ど未使用のまま。
殆ど水をくぐることもなく、黒に近いまでに染められた藍の色も鮮やかなままの大麻布。
手触りもゴリゴリガサガサと真新しいくらいのもの。
同じ大麻布でも、手触りや色の違いの面白さを感じて貰えるように合わせてみました。
かぶせを開けると、内側には型染めの縞の大麻布を。
こちらも明治期に作られた珍しい縞の大麻布。
木綿の藍染布と接ぎ合わせ、ポケットには鮮やかな縹色の藍染木綿を。
深く濃い藍から、鮮やかな縹色へ、
そして前ポケットには瓶覗き(薄水色)に染められた藍染の上布を。
藍染と大麻布、木綿、苧麻(上布)と色と布の違い、グラデーションの妙を味わって頂きたくて。
ポケットの内側に、吉兆のしるしという瑞雲を刺繍しました。
瑞雲は薺nazuna好みのモチーフ。タグ代わりの刺繍のサイン=シグネチャです。
ポケットは全部で5つ。
前ポケットには、100年以上前のイングランド製のボタンを。
白蝶貝で作られた美しいアンティークボタンです。
留めるループはシニューとやはりアンティークのボタンで拵えました。
ループをボタンに掛けて、小さなボタンを一回ねじるとしっかり閉じることが出来ます。
かぶせに留めた前飾りのボタンと紐先の留め爪は、40年ほど乾燥させた桜材を彫刻刀で彫って作りました。
なめらかな手触りになるように、数段階に紙ヤスリをかけて磨いています。
かぶせを留めつける紐は苧麻糸を紅茶で染めて、四つ編みの組紐にしたものです。
丈夫な苧麻の組紐はぐいっと引いてくるくると巻き引き絞っても、ちぎれることがありません。
しっかり手編みした組紐がキュッと本体を気持ち良く締めつけてくれます。
紐に通した緒締玉は1800年代に製作されたガラスのとんぼ玉です。
桃色珊瑚に見立てて作られた愛らしい品です。
布の手触りの良さを生かせるように、ボンドや糊で貼付けていません。
程よい張りはありますが、布の柔らかな手触りを残した仕立てのものです。
一つ一つの工程を手縫いし、仕上げもすべて手仕事で仕立てた小物入れです。
手縫いにこだわるのは、布と布の合わせ目がふんわりとふっくら仕上るので、
手織りのものや上質の素材には手縫いで、というのが信条です。。。
手にしたときに心が和むような、かぶせを開け閉めする手が喜ぶような、
愛着の湧く小物入れに仕上ったと思います。
size : W19cm × H10cm
(蓋をぴったり閉ざした時のおよその大きさです。)
表布 : 江戸期と明治期の藍染め大麻布(古布)
内布 : 縞の型染め藍染大麻布×藍染め木綿(古布)
ポケット : 縹色の藍染め木綿、瓶覗き色の藍染め上布(古布)
留め紐 : 苧麻の組紐
緒締玉: 200年以上前の桃色のガラスのとんぼ玉
留め具: 山桜
その他: 100年以上前のイングランド製ボタン、シニューのループ
発送方法 : ゆうぱっく 東京発送60サイズ
遠方の方には、なるべく安価な送料でお送りする為に、特定記録普通郵便(外箱梱包あり、追跡あり)などもあります。
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